Multi-ChromatoAnalysT

AI機能 Python環境セットアップガイド

AI Trainで学習モデルを作成し、AI Pickで利用するためのローカルPython環境をWindows PCへ導入する手順です。

対象: Windows x64 Python: 3.11.9 MCAT U-Net: v1.3 更新日: 2026年8月23日

1. このセットアップについて

このフォルダのセットアッププログラムは、Multi-ChromatoAnalysTのAI学習に必要なPython、PyTorch、ONNX関連パッケージを、PCごとに専用環境へまとめて導入します。既存のシステムPythonへ直接パッケージを追加しないため、ほかのPythonソフトへの影響を抑えられます。

通常は1つのファイルだけ実行します

Setup_unet1d_1_3_env.batを実行してください。Pythonファイルを個別に開いたり、各パッケージを手作業でインストールしたりする必要はありません。

AI TrainとAI Pickの関係

Python環境は、主にAI Trainによる学習とONNXモデルの作成に使用されます。作成済みのONNXモデルがある場合、AI Pickは通常、Multi-ChromatoAnalysT内のONNX Runtimeで実行され、Pythonを毎回起動しません。ただし、モデル作成・更新を含む完全なAI機能の準備として、本書の環境を導入してください。

作成される環境

%LOCALAPPDATA%\MCAT_UNET\py311

この場所は現在のWindowsユーザー専用です。学習済みのONNXモデルを保存するフォルダとは別のため、Python環境を再構築しても、ONNXフォルダ内のモデルは自動では削除されません。

2. 準備するもの

  • 64ビット版Windows 10またはWindows 11
  • インターネット接続
  • 数GB以上の空き容量。GPU版PyTorchでは必要量が増えます
  • このフォルダ内のセットアップ用ファイル一式
  • NVIDIA GPUを使用する場合は、更新されたNVIDIAディスプレイドライバ
セットアップ中はファイルを移動しないでください

Setup_unet1d_1_3_env.batは同じフォルダにある2つの学習スクリプトを確認します。処理が完了するまで、このフォルダの名前変更、移動、削除を行わないでください。

通常のセットアップに管理者権限は不要です

Pythonは現在のWindowsユーザー向けに導入されます。最初から「管理者として実行」する必要はありません。後述のレジストリ整理ツールだけは、トラブル復旧時に管理者権限を要求します。

3. 最短セットアップ

アプリを閉じる

学習やAI Pickが動作していない状態にします。

セットアップを起動

Setup_unet1d_1_3_env.batをダブルクリックします。

既存環境を選択

再構築を尋ねられたら、通常はN、修復時はYを選びます。

完了を確認

Setup finished.が表示されるまで画面を閉じません。

所要時間について

初回はPythonと機械学習パッケージをダウンロードするため時間がかかります。回線速度、PC性能、選択されたGPU用パッケージにより大きく異なります。

4. 詳しいインストール手順

4.1 セットアップを開始する

  1. Multi-ChromatoAnalysTを終了します。
  2. エクスプローラーでこのML_scriptフォルダを開きます。
  3. Setup_unet1d_1_3_env.batをダブルクリックします。
  4. Windowsの保護メッセージが表示された場合は、ファイルの保存場所と名称を確認してから実行します。

開始すると、セットアップ画面に環境の保存先、ログの保存先、検出したGPU、選択した実行方式が表示されます。

4.2 既存環境が見つかった場合

すでに%LOCALAPPDATA%\MCAT_UNET\py311があると、再構築するか尋ねられます。

選択動作使用する場面
NまたはEnter既存環境を残し、ONNX関連パッケージを確認・追加します。通常の再確認、軽微な不足の修復
Ypy311環境だけを削除し、最初から作り直します。importエラー、破損、GPU方式の変更、更新失敗

再構築で削除されるのは専用Python環境です。Configで指定したONNXモデルフォルダは対象外です。

4.3 自動で行われる処理

  1. PCのGPU名を確認し、CUDA、DirectML、CPUのいずれかを選びます。
  2. 利用可能なPython 3.11を確認します。
  3. 必要な場合はPython 3.11.9 x64を公式サイトからダウンロードします。
  4. 専用環境%LOCALAPPDATA%\MCAT_UNET\py311を作成します。
  5. pipsetuptoolswheelを更新します。
  6. GPUに合ったPyTorchと、NumPy、Matplotlib、ONNX、ONNX Scriptを導入します。
  7. tkinter、PyTorch、GPU認識、各パッケージを検証します。
  8. 学習用Pythonスクリプトの構文を検証します。

4.4 完了表示

最後に次の表示が出れば、環境の作成は完了です。

Setup finished.
Run Learn_unet1d_1_3_AutoGPU.bat to start the trainer.

Press any key to continue . . .が表示されたら、任意のキーを押して画面を閉じます。

5. GPU別の動作

検出された機器導入される方式補足
NVIDIA GeForce / RTX / QuadroPyTorch CUDA 12.8学習時にCUDAを優先します。RTX 50シリーズではR570以降のドライバが推奨されます。
AMD Radeon / Intel ArcPyTorch DirectMLtorch-directmlと互換性のあるNumPyを導入します。
上記以外、またはGPUを検出できない場合PyTorch CPU機能は利用できますが、AI Trainには時間がかかります。
CUDA Toolkitの手動導入は通常不要です

このセットアップはCUDA 12.8対応PyTorchホイールを導入します。まずNVIDIAディスプレイドライバを更新し、セットアップ結果のcuda_availableを確認してください。

複数GPUまたは特殊な構成

セットアップはGPU名から実行方式を自動選択します。外付けGPU、リモートデスクトップ、仮想環境などでは正しく検出できない場合があります。その場合はCPU版が選ばれることがありますが、環境作成自体は継続できます。

6. Multi-ChromatoAnalysTとの接続

6.1 MLフォルダの配置

セットアップファイルはML_scriptフォルダから単独で実行できます。一方、Multi-ChromatoAnalysTがAI Trainを自動起動するときは、実行ファイルの場所から上位階層を検索し、MLという名前のフォルダにある学習スクリプトを使用します。

配布時のフォルダ名に注意してください

このML_scriptが開発・保管用フォルダである場合、配布先には内容をMLフォルダとして配置してください。すでにビルド処理がMLへコピーしている場合は、元フォルダを変更する必要はありません。

アプリが確認する主な学習スクリプトは次の2つです。

  • mcat_train_selected_unet1d_headless.py: アプリのAI Trainから使用
  • mcat_learn_unet1d_1_3.py: 単独の学習画面から使用

6.2 ONNXモデルの保存先

Multi-ChromatoAnalysTのEdit > Setting > Statsで、ONNXフォルダを確認します。未指定時の標準位置は、アプリ実行フォルダ内のonnxです。学習後のモデルは通常、次の形式で保存されます。

unet1d_<化合物名>.onnx

AI Pickを行うPCへは、必要なONNXモデルと、アプリが必要とするDLLも一緒に配布してください。

6.3 最初の学習

  1. Edit Sheetで学習対象を確認し、IsCheckを有効にします。
  2. SettingのAI Trainを有効にし、学習条件とONNXフォルダを確認します。
  3. AI Trainを実行します。
  4. 完了メッセージのChecked compounds、Training records、Models saved、Rejected by lossを確認します。
  5. 作成されたONNXモデルをAI Inspectorで確認してからAI Pickを実行します。
Rejected by lossはインストールエラーではありません

学習は実行できていますが、最終損失が設定した品質条件を満たさず、モデル保存を見送った状態です。学習データ、IsCheck、ピーク範囲、学習回数、検証割合、lossのしきい値を確認してください。

7. 導入後の確認

7.1 セットアップ画面の確認項目

セットアップ終盤に、少なくとも次の情報がエラーなく表示されることを確認します。

  • python 3.11.x
  • tkinter ok
  • torchのバージョン
  • numpymatplotlibonnxのバージョン
  • onnxscript ok
  • NVIDIA GPU使用時はcuda_available True

7.2 簡易テスト

Learn_unet1d_1_3_AutoGPU.batを実行し、学習画面が開くことを確認できます。このバッチはGPUを自動選択し、専用Python環境からmcat_learn_unet1d_1_3.pyを起動します。

画面が開けば閉じても問題ありません。実際の学習は、入力データと保存先を確認してから開始してください。

7.3 ログの場所

ログ内容
setup_unet1d13_env.logGPU検出、選択された方式、セットアップ全体の記録
python_install_unet1d13.logPython 3.11.9インストーラの記録
AI Trainのエラー画面に表示されるLog:のパス個々の学習処理、ONNX変換、例外の詳細

8. トラブル対応

症状確認・対処
画面がすぐ閉じる コマンドプロンプトからバッチを起動するか、setup_unet1d13_env.logを確認します。必要ファイルが同じフォルダにあるか確認してください。
Pythonのダウンロードに失敗する インターネット接続、プロキシ、セキュリティソフト、python.orgへの接続を確認して再実行します。途中まで取得したファイルは_downloadsに保存されます。
No module named ... セットアップを再実行します。既存環境の再構築を尋ねられたらYを選び、最後まで完了させます。
AI Python environment was not found Setup_unet1d_1_3_env.batを実行し、%LOCALAPPDATA%\MCAT_UNET\py311python.exeまたはScripts\python.exeがあるか確認します。
AI training script was not found 配布先のフォルダ名がMLであることと、その中にmcat_train_selected_unet1d_headless.pyがあることを確認します。
NVIDIA GPUがあるのにCPUで動く NVIDIAドライバを更新し、nvidia-smiが動作するか確認します。その後、Python環境をYで再構築します。
cuda_available False ドライバ、GPU対応状況、リモートデスクトップ環境を確認します。GPUが使えなくてもCPUでの学習は可能です。
AI TrainがExit code: 1で終了する エラー画面に表示されたログの末尾を確認します。環境エラーなら再セットアップ、データやONNX出力エラーなら学習ログの最初の例外を確認します。
Rejected by lossになる 環境は動作しています。学習データ数、ピーク範囲の一貫性、IsCheck、augmentation、学習回数、lossしきい値を見直します。
AI Pickでモデルが見つからない SettingのONNXフォルダ、モデル名、化合物名との対応を確認します。MetaモデルとAIモデルの保存先が意図した場所かも確認してください。

Python 3.11.9のインストール情報が壊れている場合

通常は、Windowsの「インストールされているアプリ」からPython 3.11.9を修復または削除し、セットアップを再実行します。それでも、存在しないPythonをWindows Installerが参照して処理できない場合に限り、次の順で対応します。

  1. WindowsのPython 3.11.9を通常の方法でアンインストールします。
  2. Microsoftの「Program Install and Uninstall」トラブルシューティングツールを試します。
  3. 解決しない場合だけ、Cleanup_python311_stale_registry.batを実行します。
レジストリ整理ツールは通常のインストール手順ではありません

管理者権限でWindows Installerの登録情報を変更します。実行前に対象がPython 3.11.9であることを確認してください。ツールは同じフォルダにバックアップとログを作成します。

9. 削除・再構築

専用Python環境だけを削除する

  1. Multi-ChromatoAnalysTと学習画面を終了します。
  2. 次のフォルダを削除します。
%LOCALAPPDATA%\MCAT_UNET\py311

その後、Setup_unet1d_1_3_env.batを再実行すると、新しい環境を作成できます。

ダウンロードキャッシュとログ

不要であれば、このフォルダ内の_downloadssetup_unet1d13_env.logpython_install_unet1d13.logを削除できます。再セットアップ時には必要なファイルが再取得・再作成されます。

ONNXモデルは別に管理してください

学習済みモデルを残したい場合は、Settingで指定しているONNXフォルダを削除しないでください。モデルを再学習せずにAI Pickを続けるために必要です。

10. ファイル一覧

ファイル名役割通常の操作
Setup_unet1d_1_3_env.batPython 3.11環境、PyTorch、ONNX関連パッケージを自動導入します。最初に実行
Learn_unet1d_1_3_AutoGPU.batGPUを自動選択して単独の学習画面を起動します。動作確認または単独学習時に実行
mcat_learn_unet1d_1_3.py学習画面、学習、モデル確認、ONNX出力を担当します。通常はバッチから起動
mcat_train_selected_unet1d_headless.pyMulti-ChromatoAnalysTから選択済みデータを学習するヘッドレス処理です。アプリから自動実行
mcat_update_onnx_metadata.pyONNXメタデータの作成・更新に使用します。必要時にアプリまたは保守処理から使用
Cleanup_python311_stale_registry.batPowerShellの復旧処理を管理者権限で起動します。通常は実行しない
Cleanup_python311_stale_registry.ps1壊れたPython 3.11.9のInstaller登録をバックアップ後に整理します。最終手段として使用

セットアップ時の通信先

現在のスクリプトは、Python公式配布サイト、PyTorch公式パッケージ配布先、Python Package Indexから必要なファイルを取得します。社内ネットワークやプロキシで接続が制限されている場合は、管理者へ次のHTTPS接続について確認してください。

  • www.python.org
  • download.pytorch.org
  • pypi.orgおよびPythonパッケージ配布先

セットアップはソフトウェア依存関係をダウンロードします。現在の学習スクリプトは、学習用クロマトグラムを外部サービスへ送信する処理を行いません。