1. このセットアップについて
このフォルダのセットアッププログラムは、Multi-ChromatoAnalysTのAI学習に必要なPython、PyTorch、ONNX関連パッケージを、PCごとに専用環境へまとめて導入します。既存のシステムPythonへ直接パッケージを追加しないため、ほかのPythonソフトへの影響を抑えられます。
Setup_unet1d_1_3_env.batを実行してください。Pythonファイルを個別に開いたり、各パッケージを手作業でインストールしたりする必要はありません。
AI TrainとAI Pickの関係
Python環境は、主にAI Trainによる学習とONNXモデルの作成に使用されます。作成済みのONNXモデルがある場合、AI Pickは通常、Multi-ChromatoAnalysT内のONNX Runtimeで実行され、Pythonを毎回起動しません。ただし、モデル作成・更新を含む完全なAI機能の準備として、本書の環境を導入してください。
作成される環境
%LOCALAPPDATA%\MCAT_UNET\py311この場所は現在のWindowsユーザー専用です。学習済みのONNXモデルを保存するフォルダとは別のため、Python環境を再構築しても、ONNXフォルダ内のモデルは自動では削除されません。
2. 準備するもの
- 64ビット版Windows 10またはWindows 11
- インターネット接続
- 数GB以上の空き容量。GPU版PyTorchでは必要量が増えます
- このフォルダ内のセットアップ用ファイル一式
- NVIDIA GPUを使用する場合は、更新されたNVIDIAディスプレイドライバ
Setup_unet1d_1_3_env.batは同じフォルダにある2つの学習スクリプトを確認します。処理が完了するまで、このフォルダの名前変更、移動、削除を行わないでください。
通常のセットアップに管理者権限は不要です
Pythonは現在のWindowsユーザー向けに導入されます。最初から「管理者として実行」する必要はありません。後述のレジストリ整理ツールだけは、トラブル復旧時に管理者権限を要求します。
3. 最短セットアップ
学習やAI Pickが動作していない状態にします。
Setup_unet1d_1_3_env.batをダブルクリックします。
再構築を尋ねられたら、通常はN、修復時はYを選びます。
Setup finished.が表示されるまで画面を閉じません。
初回はPythonと機械学習パッケージをダウンロードするため時間がかかります。回線速度、PC性能、選択されたGPU用パッケージにより大きく異なります。
4. 詳しいインストール手順
4.1 セットアップを開始する
- Multi-ChromatoAnalysTを終了します。
- エクスプローラーでこの
ML_scriptフォルダを開きます。 Setup_unet1d_1_3_env.batをダブルクリックします。- Windowsの保護メッセージが表示された場合は、ファイルの保存場所と名称を確認してから実行します。
開始すると、セットアップ画面に環境の保存先、ログの保存先、検出したGPU、選択した実行方式が表示されます。
4.2 既存環境が見つかった場合
すでに%LOCALAPPDATA%\MCAT_UNET\py311があると、再構築するか尋ねられます。
| 選択 | 動作 | 使用する場面 |
|---|---|---|
NまたはEnter | 既存環境を残し、ONNX関連パッケージを確認・追加します。 | 通常の再確認、軽微な不足の修復 |
Y | py311環境だけを削除し、最初から作り直します。 | importエラー、破損、GPU方式の変更、更新失敗 |
再構築で削除されるのは専用Python環境です。Configで指定したONNXモデルフォルダは対象外です。
4.3 自動で行われる処理
- PCのGPU名を確認し、CUDA、DirectML、CPUのいずれかを選びます。
- 利用可能なPython 3.11を確認します。
- 必要な場合はPython 3.11.9 x64を公式サイトからダウンロードします。
- 専用環境
%LOCALAPPDATA%\MCAT_UNET\py311を作成します。 pip、setuptools、wheelを更新します。- GPUに合ったPyTorchと、NumPy、Matplotlib、ONNX、ONNX Scriptを導入します。
tkinter、PyTorch、GPU認識、各パッケージを検証します。- 学習用Pythonスクリプトの構文を検証します。
4.4 完了表示
最後に次の表示が出れば、環境の作成は完了です。
Setup finished.
Run Learn_unet1d_1_3_AutoGPU.bat to start the trainer.
Press any key to continue . . .が表示されたら、任意のキーを押して画面を閉じます。
5. GPU別の動作
| 検出された機器 | 導入される方式 | 補足 |
|---|---|---|
| NVIDIA GeForce / RTX / Quadro | PyTorch CUDA 12.8 | 学習時にCUDAを優先します。RTX 50シリーズではR570以降のドライバが推奨されます。 |
| AMD Radeon / Intel Arc | PyTorch DirectML | torch-directmlと互換性のあるNumPyを導入します。 |
| 上記以外、またはGPUを検出できない場合 | PyTorch CPU | 機能は利用できますが、AI Trainには時間がかかります。 |
このセットアップはCUDA 12.8対応PyTorchホイールを導入します。まずNVIDIAディスプレイドライバを更新し、セットアップ結果のcuda_availableを確認してください。
複数GPUまたは特殊な構成
セットアップはGPU名から実行方式を自動選択します。外付けGPU、リモートデスクトップ、仮想環境などでは正しく検出できない場合があります。その場合はCPU版が選ばれることがありますが、環境作成自体は継続できます。
6. Multi-ChromatoAnalysTとの接続
6.1 MLフォルダの配置
セットアップファイルはML_scriptフォルダから単独で実行できます。一方、Multi-ChromatoAnalysTがAI Trainを自動起動するときは、実行ファイルの場所から上位階層を検索し、MLという名前のフォルダにある学習スクリプトを使用します。
このML_scriptが開発・保管用フォルダである場合、配布先には内容をMLフォルダとして配置してください。すでにビルド処理がMLへコピーしている場合は、元フォルダを変更する必要はありません。
アプリが確認する主な学習スクリプトは次の2つです。
mcat_train_selected_unet1d_headless.py: アプリのAI Trainから使用mcat_learn_unet1d_1_3.py: 単独の学習画面から使用
6.2 ONNXモデルの保存先
Multi-ChromatoAnalysTのEdit > Setting > Statsで、ONNXフォルダを確認します。未指定時の標準位置は、アプリ実行フォルダ内のonnxです。学習後のモデルは通常、次の形式で保存されます。
unet1d_<化合物名>.onnx
AI Pickを行うPCへは、必要なONNXモデルと、アプリが必要とするDLLも一緒に配布してください。
6.3 最初の学習
- Edit Sheetで学習対象を確認し、IsCheckを有効にします。
- SettingのAI Trainを有効にし、学習条件とONNXフォルダを確認します。
- AI Trainを実行します。
- 完了メッセージのChecked compounds、Training records、Models saved、Rejected by lossを確認します。
- 作成されたONNXモデルをAI Inspectorで確認してからAI Pickを実行します。
学習は実行できていますが、最終損失が設定した品質条件を満たさず、モデル保存を見送った状態です。学習データ、IsCheck、ピーク範囲、学習回数、検証割合、lossのしきい値を確認してください。
7. 導入後の確認
7.1 セットアップ画面の確認項目
セットアップ終盤に、少なくとも次の情報がエラーなく表示されることを確認します。
python 3.11.xtkinter oktorchのバージョンnumpy、matplotlib、onnxのバージョンonnxscript ok- NVIDIA GPU使用時は
cuda_available True
7.2 簡易テスト
Learn_unet1d_1_3_AutoGPU.batを実行し、学習画面が開くことを確認できます。このバッチはGPUを自動選択し、専用Python環境からmcat_learn_unet1d_1_3.pyを起動します。
画面が開けば閉じても問題ありません。実際の学習は、入力データと保存先を確認してから開始してください。
7.3 ログの場所
| ログ | 内容 |
|---|---|
setup_unet1d13_env.log | GPU検出、選択された方式、セットアップ全体の記録 |
python_install_unet1d13.log | Python 3.11.9インストーラの記録 |
AI Trainのエラー画面に表示されるLog:のパス | 個々の学習処理、ONNX変換、例外の詳細 |
8. トラブル対応
| 症状 | 確認・対処 |
|---|---|
| 画面がすぐ閉じる | コマンドプロンプトからバッチを起動するか、setup_unet1d13_env.logを確認します。必要ファイルが同じフォルダにあるか確認してください。 |
| Pythonのダウンロードに失敗する | インターネット接続、プロキシ、セキュリティソフト、python.orgへの接続を確認して再実行します。途中まで取得したファイルは_downloadsに保存されます。 |
No module named ... |
セットアップを再実行します。既存環境の再構築を尋ねられたらYを選び、最後まで完了させます。 |
AI Python environment was not found |
Setup_unet1d_1_3_env.batを実行し、%LOCALAPPDATA%\MCAT_UNET\py311にpython.exeまたはScripts\python.exeがあるか確認します。 |
AI training script was not found |
配布先のフォルダ名がMLであることと、その中にmcat_train_selected_unet1d_headless.pyがあることを確認します。 |
| NVIDIA GPUがあるのにCPUで動く | NVIDIAドライバを更新し、nvidia-smiが動作するか確認します。その後、Python環境をYで再構築します。 |
cuda_available False |
ドライバ、GPU対応状況、リモートデスクトップ環境を確認します。GPUが使えなくてもCPUでの学習は可能です。 |
AI TrainがExit code: 1で終了する |
エラー画面に表示されたログの末尾を確認します。環境エラーなら再セットアップ、データやONNX出力エラーなら学習ログの最初の例外を確認します。 |
Rejected by lossになる |
環境は動作しています。学習データ数、ピーク範囲の一貫性、IsCheck、augmentation、学習回数、lossしきい値を見直します。 |
| AI Pickでモデルが見つからない | SettingのONNXフォルダ、モデル名、化合物名との対応を確認します。MetaモデルとAIモデルの保存先が意図した場所かも確認してください。 |
Python 3.11.9のインストール情報が壊れている場合
通常は、Windowsの「インストールされているアプリ」からPython 3.11.9を修復または削除し、セットアップを再実行します。それでも、存在しないPythonをWindows Installerが参照して処理できない場合に限り、次の順で対応します。
- WindowsのPython 3.11.9を通常の方法でアンインストールします。
- Microsoftの「Program Install and Uninstall」トラブルシューティングツールを試します。
- 解決しない場合だけ、
Cleanup_python311_stale_registry.batを実行します。
管理者権限でWindows Installerの登録情報を変更します。実行前に対象がPython 3.11.9であることを確認してください。ツールは同じフォルダにバックアップとログを作成します。
9. 削除・再構築
専用Python環境だけを削除する
- Multi-ChromatoAnalysTと学習画面を終了します。
- 次のフォルダを削除します。
その後、Setup_unet1d_1_3_env.batを再実行すると、新しい環境を作成できます。
ダウンロードキャッシュとログ
不要であれば、このフォルダ内の_downloads、setup_unet1d13_env.log、python_install_unet1d13.logを削除できます。再セットアップ時には必要なファイルが再取得・再作成されます。
学習済みモデルを残したい場合は、Settingで指定しているONNXフォルダを削除しないでください。モデルを再学習せずにAI Pickを続けるために必要です。
10. ファイル一覧
| ファイル名 | 役割 | 通常の操作 |
|---|---|---|
Setup_unet1d_1_3_env.bat | Python 3.11環境、PyTorch、ONNX関連パッケージを自動導入します。 | 最初に実行 |
Learn_unet1d_1_3_AutoGPU.bat | GPUを自動選択して単独の学習画面を起動します。 | 動作確認または単独学習時に実行 |
mcat_learn_unet1d_1_3.py | 学習画面、学習、モデル確認、ONNX出力を担当します。 | 通常はバッチから起動 |
mcat_train_selected_unet1d_headless.py | Multi-ChromatoAnalysTから選択済みデータを学習するヘッドレス処理です。 | アプリから自動実行 |
mcat_update_onnx_metadata.py | ONNXメタデータの作成・更新に使用します。 | 必要時にアプリまたは保守処理から使用 |
Cleanup_python311_stale_registry.bat | PowerShellの復旧処理を管理者権限で起動します。 | 通常は実行しない |
Cleanup_python311_stale_registry.ps1 | 壊れたPython 3.11.9のInstaller登録をバックアップ後に整理します。 | 最終手段として使用 |
セットアップ時の通信先
現在のスクリプトは、Python公式配布サイト、PyTorch公式パッケージ配布先、Python Package Indexから必要なファイルを取得します。社内ネットワークやプロキシで接続が制限されている場合は、管理者へ次のHTTPS接続について確認してください。
www.python.orgdownload.pytorch.orgpypi.orgおよびPythonパッケージ配布先
セットアップはソフトウェア依存関係をダウンロードします。現在の学習スクリプトは、学習用クロマトグラムを外部サービスへ送信する処理を行いません。